いつか見つけてね。


昼までは集中して仕事に打ち込んでいたけど、やはり朝の妹尾の言葉が気になって仕方ない。


男から花をプレゼントされたって、

それを史也が持って帰っただと?


確か、史也は来年アメリカに行くからいろいろと引き継ぎなどで本社にいるはずだ。


昼飯食って話をするか。


散歩がてらに社を歩き回るとまだ俺の存在を知らない奴らからの好奇の目が向けられる。


食堂に顔を出すとそこに秘書のグループがテーブルを陣取っていた。


まりなが俺に気付いてペコリと頭を下げ、手を振りながら歩み寄ってくる。

もちろん、秘書課がみんな頭を下げているところを見た社員からの視線が一点に集中しているのがわかる。


「どうなされました?

妹尾さんなら確かあそこに。」


と言って手の指す方を見ると妹尾と史也が二人で食事しているところだった。


まりなはこういう時は臨機応変に対処できて自分の立場をわかっているように見えるから


「ありがとう。まりな。

助かった。」


と普通に話しかけると


「光信が昼休みにこんな風にやってくるなんて珍しいわね。急ぎ?



この前の食事会キャンセルになったって聞いたけど、奥様の調子でも悪かったのかしら?

また次の機会にって連絡させてもらったわ。」


そう言って頭を下げてテーブルに戻っていくまりなの後ろ姿に

まだこいつにはわかってないのか、と首を降るしかなかった。


そのまま視線を窓際のテーブルに戻すと妹尾も史也も俺の方を見て手を上げた。


「なんだ?急ぎの用事か?

携帯鳴らせば良かったのに。」

と妹尾が俺に言うから、

「話はお前にない、史也に聞きたいことがあってな。」

史也が

「美穂絡み?」

ってニヤけて笑った。


「あ~、花のことか。」


妹尾まで一緒になりやがって、いら立つ。


妹尾の隣の椅子を動かして三角点に座った。

「美穂の幼馴染みたいな奴だよ。

アメリカの学校が一緒だったんだ。

倉梯財閥の息子。

美穂もパーティーに呼ばれてたんだけど、クリスマスにそんなところ行かせるわけ無いだろ。

だから、美穂には知らせなかった。


で、そのお詫びって言うか花を渡してくれって言うから残りの花なら持って帰るって言ったわけ。


まー、せっせと花束作ってたけどな。




何焦ってんだ?」


史也にそう言われて少し安堵した。


「倉梯岳斗と美穂が幼馴染?」

「ああ。でも、美穂覚えてなかったみたいだけどな。

多分、ほとんど話ししたことないんじゃないか。」



すると妹尾が

「へ~、そうなんだ。

じゃ、アキラん所で話して思い出してるかな?」



「あ゛!

今なんつった?」
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