いつか見つけてね。
相変わらず終わらない懐かしい話を史君と岳斗が続けてる。

私はいつもタミーと一緒にいたから気付かなかったけど二人は兄弟のように仲が良かったんだ。


「あのキャンプ覚えてる?

俺初めて電気も水道もないところでテントはって寝るなんて無理って言ったら史也さんが、

〃そんなんじゃ好きな女一人守ることもできないぞ〃

って言われてなんか頑張ったんだよね。


あのおかげで自分自身強くなったと思うんだ。」


「そうだったな。お前頑張ったよ。

俺の初キャンプなんて美穂を連れて行かされて参ったもんな。


まだ小学生の美穂を連れて電気水道なしだぞ。


こいつ泣くし、何もできないで怖い怖い言い続けるし。



俺もそうやって強くなったんだよな。」


そんな話あったっけ?


「そんなことあったっけ?

キャンプファイヤーが綺麗なの覚えてるけど、私泣いてた?」


史君懐かしそうに笑いながら


「ああ。ビャービャー泣いてた。」


「エミは泣き虫だった。」


「お前まだ美穂のことエミって呼んでんの?」

「うん。エミとしかもう呼べないよ。今更美穂って変な感じ。」







「言っとくが、こいつにはもう彼氏がいるからな。変な気起こすなよ。」



「もうエミからも言われた。

わかってるよ。」










「.......エミのことは、二人が別れたらそれはわかんなけど。」とつぶやいた。




「あ?なんか言ったか?」


「何でもない。


それより明日もバイトだから帰らないと。

これでもまだ新入りなんだから。遅刻とかやばいんだけど。


史也さん?」


そう言って遅くならないうちに私たちは別れた。


マンションに帰ると史君にまたおにぎりをせがまれた。

飲むとおにぎりが食べたくなるんだって。



私はシャワーをして先に寝室に入った。









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