いつか見つけてね。


そいつは俺のことを見てニコッと笑い側に近付いてくる。


「社長、申し訳ございません、少し遅れて来てしまいました。」

わざわざ俺の前で頭を下げる。


「岳斗、遅かったな。

全く、お前は時間を守れないでどうする。」


俺の隣に座った倉梯がそう言うと、俺と倉梯しか聞こえないような声で


「手の離せない商談がありまして、まずは片付けてからやって来ました。

今日の仕事納めで終わらせたかったもので。」


そう言うと倉梯は


「昼間遊び回ってるからこんなことになるんだ。」

と少し息子に対して苛立ってるようだ。

それを察した岳斗が、

「俺はまだ正式に倉梯の駒じゃねーんだ。それが気に食わないんだったらこんな面倒臭いこと押し付けるな。」

と倉梯に食って掛かった。


その会話が聞こえるのはもちろん俺と倉梯だけ。


にっこり笑顔で挨拶をしているように見えるんだろうか、大物の一人が


「倉梯さん、息子さん大きくなられましたね。しっかりしているように見受けられる。

うちの娘と同い年なのに、全くあの子は遊んでて。ハッハッハ。」


そう言って場がどっと笑い、岳斗が倉梯から離れた。


そして岳斗はその大物の方へ挨拶に行った。


要領のいい岳斗を俺と倉梯は見ていた。








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