いつか見つけてね。



俺は料亭から足早に去った。

一刻も早く美穂に会いたい。



携帯ももどかしくて美穂の部屋のドアをいきなりノックしたら怪訝な顔した史也が不思議そうに俺の顔を見てから驚いたみたいに


「お疲れ様っす。なんかあったんすか?」

と焦る俺を中へ通してくれた。


驚いた美穂が

「光信、おかえりなさい。

携帯鳴らなかったけど、どう。」


したの?と言うのも聞かずに俺は美穂を力いっぱい抱きしめた。

そして


「会いたかった。俺んとこ行くぞ。」

と耳元で呟くと顔を赤くした美穂が

「酔ってるの?

少し変だよ。」


と俺の胸元から心配そうに上目遣いで話しかける。


何かを感じた史也が、

「大人はいろいろあるんだから、変だなんて言うな。

ほら、冷蔵庫に夜食作ったんだろ?

持っていけ。



あと、あの話忘れるなよ。

すぐに伝えるの忘れるからな。」


「あ、うん。

そうだったね、前にも連絡しないで怒られたっけ。」


前に連絡しなかったのは、彼女が東京に行ってた時のことだった。




今回はそんなことが無いように俺に史也から気を使ったんだろう。







俺の部屋に連れて行ったとたん俺は美穂の唇に口付けた。


激しく、俺のいまの焦る気持ちを押さえることができないくらい強く抱きしめたまま。


美穂が俺の胸に手をおいて息もできないくらいで押しのけようとするのにほんの少しだけ息継ぎできるように何度も角度を変えて舌を絡めていく。



「みっ‥‥ っ‥ のぶってば

どうしたのよ!

‥....

なんか変だよ。

放してっ。

....‥

こんなのいやっ。」


そう言うと半分涙をためた美穂が俺のことを正気に戻した。




「ごめんっ。


余裕がなかった。














美穂を失いたくないんだ。」
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