いつか見つけてね。
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光信が美穂ちゃんを送っていくというからその間に俺たち秘書課は先に料亭に行くことになった。

女秘書は着物を着て集合、俺は大友さんに任されて倉梯会長の相手を任された。


岳斗の親父、水友とは職種が違うので相互の利益関係のために切っては切れない仲。


靖枝奥様が少し無理しすぎて体調を崩してしまったと聞き会長は料亭には訪れなかった。


だから光信が来るまで主役を担ったのはまりなだろう。


まりなは相変わらず目立つ、


それでなくてもモデル張りの体型に顔、着物は自前の加賀友禅、それに薬指には大きなダイヤ。

昔から名のしれたセレブのまりなが水友で秘書をしていると聞くとみんなこぞって光信が側に置きたいんだろうと勘ぐった。

昔のことを知る古手の人なら知っている光信とまりなの事。


「今日は仕事で来ておりますので、プライベートなことは申し訳ございませんが。」


なんて相手をしているVIPに話すがその間も薬指の指輪をチラすかせている。


だから、まりなは自分からは一言も婚約しているとは言っていないけどそういう想像になるんだろう。




だから光信がやってくるとみんながそんな目で見ていた。


美穂ちゃんを送らないでそのまま直接来ていたらこんな変な誤解も無かっただろうに。






あとからやってきた倉梯の息子が挨拶しながらまりなと光信の関係を聞かされて


「なるほど、そういう関係だったんですか。」

なんて妙に白々しく聞いていた。




俺は光信に頼まれて秘書をみんな別室に連れて行ったからその後のことは知らないけど


帰り際の光信は少し焦った様子だった。
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