いつか見つけてね。
店を出てすぐに私に向き直した岳斗君が、コートを羽織らせてくれた。


「ありがとう。」

「ああ。それじゃ、付き合ってもらうかな。」

そう言うと車の方に歩いていく。

まだどこに行くのか教えてもらってないから車に乗り込んでも走る車線を見てるだけ。


私はさっきのシーンを思い出して


「ねえ、岳斗君てあんまり我慢するの好きじゃないよね。

女の人苦手って聞いてたから。」

思っていたことがポロッと口から出てしまった。


失礼なこと言っちゃったと思って運転している岳斗君を見ると、彼は前を向いたまま


「良くないってわかってる。

でも、ああやって媚売ってくるのが鬱陶しいから。


別に、みんなから好かれたいとも思わないし。」


そう言って私の方にチラッと目をやった。


「エミからは好かれたいって思ってるよ。


もちろんそれは友達として。」


「うん。わかってる。」





それからはいろんな話をした。

アメリカ生活が長い岳斗君は今の学生生活をあまり知らないから。


知ってても、お金持ちのセレブ生活だから、合コンの話なんてすると

「絶対無理。」

って本当に嫌そうに顔をしかめた。





ついた先はセレクトショップだった。



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