いつか見つけてね。
「ここに来たかったの?」

おしゃれなメンズもレディースもあるショーウィンドウを覗いてみる。


フォーマルな衣装ばかりで、パーティー衣装の調達に来たのかなって思っていると


「違う、その隣。」


隣に目をやるとレディースファッションのお店だった。


「予定外だったけど、エミの服汚したから。



濡れてるだろ、袖。」


コートの下のニットはまだ乾くことなくベッタリと濡れていた。


「私のため?」

「ああ、濡れた服着せたままじゃダメだろ。」


「うん、ありがとう。

じゃ、ちょっと見てくるね。」


先に店に足を入れた。

早くなにか見つけて出ないと、岳斗君に予定外な時間を過ごさせちゃう。


と思いながら探していると、岳斗君が私の真後ろから手を伸ばしてハンガーにある服を取り上げた。

「これは?」

すると、店員さんがやってきて


「いらっしゃいませ。

Missyへようこそ。

何かお探しですか?」


すごく綺麗なお姉さんが私達の前に現れた。


「彼女の服が濡れたから、何か代わりになるものを。」


そう言うとお姉さんが私の服を見て、


「コチラは当店のニットですね。


あちらにそれと同じタイプのニットがありますが、ご覧になられますか?」


そう言って案内されたニットの置かれたラックを見る。


そこには何点か光信が買っていた服もあって


「この服、光信にプレゼントされたのと同じだ。」


「へー、兄貴、エミにここの服買ってたんだ。

意外だな。ここまでとはな。」

岳斗君がこわばった顔して呟くから



「うん、びっくりだね。

でも、いつもそうなの。

前にプレゼント頂いた時もいくつもプレゼントされてひとつだけっていうのがないんだよね。」


と値札を見て驚いた。

普通のおしゃれ量販店ぐらいの私でも手の届く値段の店だと思ったのに、一桁違ってた。




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