いつか見つけてね。
「なんだこれ?」

そう言って私を見るから

「コーヒーです。ってさっき頼みましたよね?」


首を傾げてる。

「マズイ、こんなマズイコーヒー初めて飲んだ。

入れ方教えるからこい。」



勝手にキッチンに歩いていく。


もう、帰ればいいのにっ。


時計を見るととっくに夜中を回って次の日になっていた。


「クククっ、美穂、コーヒー作ったことないだろ。


豆そのままコーヒーメーカーに入れてる。」


ケラケラ笑われた。


だって、史君は自分でなんでもしてくれるから、コーヒーなんて入れたこともないもん。


「お前に兄貴が感心するように入れ方教えてやるよ。」


そう言うとコーヒー豆をミルで引いて砕いた。

そしてコーヒーメーカーにセットするとさっきよりもずっといい匂いのコーヒーができた。


ふーん、こうやって作るんだ。

今度史君が来た時に作ってあげよう。


ニマッっと微笑んでいると、その顔を見られていた。


そして、

「今度またコーヒーでも飲みに来るわな。」


そう言って飲み干したコーヒーカップをシンクに入れて帰っていった。

これ、史君に買ったコーヒーマグなのに。


でも、


ふーっ、やっと帰ってくれた。

ゆっくり風呂に入って私も寝むりについた。
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