いつか見つけてね。
まさか、昨日の今日で会うなんて。



夕方買い物を終えて帰ってくるとき偶然に近所のスーパーでハチ合わせた。


「こんなとこで会うなんてな。」


「そっ、そうですね。」


少し距離を開けて帰ろうとしているのに、濱野さんが私の買い物袋を取り上げて、無理やり手を繋いできた。


「昨日、話せなかっただろ?



この前のこと。








なんで、消えたんだ?






俺、そんな無責任な男に見えたか?」



ぎゅっと繋がれた手に少し力が入る。


「えっ、




あのことは。








いい、思い出ってことで



誰もが通り過ぎる通過点ていうか。




ただ、経験してみたかったんです。




私も、出来るんだっていう証拠。」




わけのわからないって顔をして私を見る濱野さん。


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