いつか見つけてね。


ベタだが、これは聞きたかった。



「どうして美穂なんですか?


まだ子供で、


そりゃ可愛いし、性格もいいですけど



濱野さんに相応しい人はもっといるはずですけど?」


すると、苦笑いをしながら俺の方を向いた。


「俺の初恋なんです、美穂は。





もう、10年ぐらい前の。」



俺らはその時アメリカに住んでいた。

親父の転勤で家族みんなでアメリカに行ったんだ。



「アメリカであったんですか?」


「ん?


ああ。ホームパーティーで。







あの時、美穂は小学生だったな。」


親父がよくホームパーティーを開いていた。

近くに住む同じように転勤してきている家族とのパーティーは故郷を離れている俺達にとって久しぶりに日本語で話せる息抜きの時間だった。

「俺、そのパーティーに2度ほど行ったんだ。


その時一生懸命におにぎりを握る美穂がいた。



美味しかったな。」


美穂はいつもおにぎりを作る係だった。


パーティーの締めにみんなパクっと口に運べるようにって、あの小さな手で握ってた。


話しかけたんだ、2度目のパーティーで



(またパーティーに来てね。美穂のおにぎり美味しいんだよ。)



「でも、それから俺はパーティーに行けなかった。特進で全寮制の学校に行ったから。


親父に何やってるんだって、怒られたんだ。」


「飲もうぜ、なんかあんたとはずっとこれからも付き合うことになりそうだな。

悪いけど、家では敬語無しでいかせてもらう。いいよな?」


「ああ。もちろん、そのほうが助かる。歳いくつだよ?

俺は、26。」


「じゃ、タメじゃん。」





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