いつか見つけてね。


    *濱野サイド  


アメリカに行ってしばらくして俺はたのしくてあそびまくっていた。


親から解放されて自分の思い通り遊んで、

16歳の若造がすることはひとつ、性欲のままいろんな女と寝た。

でも、それに愛があったことはない。

そんな時もう一人日本から来た留学生、妹尾輝夫が俺を誘ったんだ。

久しぶりに日本人と交わるのもいいんじゃねーかって。

そういえば俺はこいつとは話しているけどそれ以外は誰とも接点を持たなかった。


水友の御曹司と大人が腫れ物を触るように俺に媚を使うから。





誰も知らないところでなら俺の存在を知られるわけないから、いいよってパーティーに行ったんだ。

一生懸命キッチンでおにぎりをにぎってる少女を初めて見た時俺は天使を見たのかと目を疑った。

それくらい心を奪われた。

綺麗な瞳に、笑顔が眩しい。背はまだ小さくて。

一生懸命な姿に心を洗われる気がした。


また会いたいって思ったんだ。



そして、2度目のパーティーの時に聞いてみた。  


名前は?   すると透き通るような声で

「美穂です。   おにぎり食べて帰ってくださいね。


これしかまだ作れないんです。

いつか私もいっぱい料理作れるようになりたいの。」

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