いつか見つけてね。
*史也サイド


 アメリカで輝夫と知り合った。

あいつは日本人でありながら生まれてからずっとこっちに住んでいるのでもう日本人的な感覚がない。

高校から知り合いになった俺はこいつの感覚に驚かされてばかりだった。


俺は、真面目に学校も慣れるように勉強した。


あいつは、結構遊んでいたように思える。


そして、いつもこんなチャラついた奴なのに、勉強もできた。

なんかこいつにも苦手なものがあるだろう?

こいつの弱点はすぐに見つかった。


美穂だ。

俺にはなんでも無茶苦茶なんことを言うくせに美穂の前では狐につままれたように大人しくなる。


年下に弱いのかって、思った。






美穂は、アメリカの学校生活にいっぱいいっぱいだった。


それ以上に美穂にはアメリカというところが似合わないように思えた。

みんなが開けっぴろげな性格でドンドンと美穂の懐に入っていこうとするから、 美穂は躊躇することが多かった。


そしてだんだんと奥手になっていったんだ。


俺との仲がアメリカに来てからずっと近くなった。



俺が守ってやらなきゃって。
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