いつか見つけてね。
*輝夫

頭が丸くなったもんだ。

俺がちゃんと就職するなんて。

でも、光信がいるから出来たみたいなもんだけど、腐れ縁ていうのはやはりあるんだということがわかった。


就職してから、 史也が神戸に仕事で来る度に俺とつるんで飲みに行ったり、女引っ掛けたりして楽しんでた。

それが、この4月から妹が短大に神戸に来たって聞かされた時には嬉しかった。

どうしていいのかわからない、またあの子に会えるかもしれないのかって、史也に会わせろって言ってもあいつはお前に合わせる必要ないしって全くとりあってくれなかった。


あの純粋な美穂に会えるかもって。


その時小耳に挟んだんだ、俺の部下が誠心短大の子達と合コンがあるって言うから俺は一緒に連れて行けって言ったんだ。


もしかしたら美穂に逢えるかもっていう密かな期待を込めて。

そして光信も誘った。

それは俺だけ行って浮くのが嫌だったから。

でも、美穂を見る目がいつもの女を見る目と違っていたのが俺にはすぐに分かった。

こいつが本気の目をしているなんて。


そして話しこむうちに美穂を持ち帰っていった。  


しかし、次の日力なく落ち込んでいるアイツを見て何も言えなかった。


思ったより傷が深そうだったから。

時間が解決してくれるって思ってたから。  

そして少しずつ立ち直っていったと思った矢先俺はまたカラオケから出てきた美穂に会ったんだ。  

俺はすぐに誘った。

この前の女子大生と飲んでるって。  


あいつは社長として、大きなパーティーに呼ばれていたはずだ。

だから、せめて今回は連絡先ぐらいは聞いておいてやろうと思ってた。  

多分来ないと思っていたのに30分もしないうちにやってきた。  

でも、結局掴まれたのは美穂の友達からだけ、   チラッとお互いが気にしているのはわかったけど、行動に起こさないあいつに美穂が洗面所に立った時に目配せして追いかけるように仕向けた。




彼女に悪態を付いていると

エロジジイって言われて参った。


多分、俺と史也が友達なんてこと覚えてないんだろうな。



あの頃の天使は史也に躾けられて予防線をはれるようになってた。

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