恋愛論



「由宇、由宇が濡れてるよ?」


由宇の傘は小さなビニール傘で。


二人入るには小さ過ぎた。


由宇はあたしが濡れないようにしてくれて。


自分は半分しか入ってなかった。


「ん?大丈夫だよ?」


いやいや。


普通に濡れてるのに。


あたしがつい笑うと、由宇も笑う。


「前もこんなことあったよな」


「え?」


「早紀が傘忘れて二人で入ったよな」


何となくだけど覚えてる。


あの時は確か…


「俺すっげぇ緊張して、今以上にずぶ濡れ。帰ってから母親にすっげぇ怒られた」


また二人で笑う。


懐かしいな。


元彼なんて興味ない。


今まではそうだったけど、少しは違う気がした。


いい友達だよ、由宇は。










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