恋愛論
「早紀、俺そんな気ないって」
由宇はあたしを離しながら言う。
「いいじゃん、別に」
「良くないだろ?こんなん……」
由宇は呆れたように言う。
「だってあたし彼氏いないし。由宇だって彼女いないじゃん」
あたしはゆっくり由宇に抱きつく。
「けど俺には好きなやつがいる」
由宇がまた少し、辛そうな顔をする。
「どうせ叶わないんでしょ?」
由宇がさらに辛そうな顔をする。
あたしは最低だ。
由宇が傷付くのを分かりきってるくせに。
「忘れなきゃ、その子のことは」
戸惑っていた由宇の手に力がこもる。
しばらく沈黙があって由宇が動く。
ゆっくりあたしをベッドに乗せる。
「もう止まらねぇからな?」
そう言って由宇はあたしの胸に顔を埋めた。