恋愛論
罪滅ぼし
川崎菜月。
はっきり覚えてる。
可愛くて、頭が良くて、何でも出来る子。
あたしなんかじゃ絶対適わない子。
何で気付かなかったんだろう。
枕元のクラス写真は、どちらも川崎さんが写っていた。
いつから好きなんだろうか。
まさか中三?
そんなことを思っていると、由宇が目を覚ます。
「ごめんな」
すごく申し訳なさそうに由宇が謝る。
「謝る必要なんてないじゃん?」
あたしがそう言っても由宇は難しい顔をしている。
とことん真面目だなぁ、由宇は。
「由宇が川崎さんを忘れるためでしょ?」
川崎さんの名前を聞いて、驚いた顔の由宇。
無意識だったのかな、あれは。
あたしは結構ショックだったのに。
「写真」
そう言って写真を指差すと、由宇は納得したような表情。