恋愛論



「由宇?」


あれから週二回ほど、あたしは由宇の家に行くようになった。


外で遊ぶようなことは、恋人じゃないからしない。


由宇の部屋を片付けてあげたり。


大学の話をしたり。


ご飯を作ってあげたり。


「何食べたい?」


あたしが言うと由宇は悩んだ表情。


「オムライス」


悩んだ末にオムライスか。


「この前学食で食べたんじゃないの?」


あたしが聞くと由宇は微笑む。


「早紀特製オムライス」


…こいつは、何でこんなに純粋なんだろう。


汚れて、腹黒いあたしと大違い。


彼女候補なんて山ほどいるはずなのに。


よっぽど川崎さんが好きなんだ。


あたしには理解できないよ。


叶わない相手を一途に想うなんて。









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