恋愛論
「飲んでる?高田さん」
いつのまにか隣にいた男の子は、なかなか綺麗な顔の子。
突然名前を呼ばれ、戸惑っているとその人は笑う。
「あ、俺?数学科の畑中凌。凌でいいよ。よろしく」
にこっと握手を求めて手を差し出す。
「単刀直入に言っていい?」
何を?
聞き返す暇も与えずに、畑中君は言う。
「俺と付き合うこと考えてみない?」
「え?」
周りに皆がいるのに。
恥ずかしがりもせず、淡々ととんでもない事を言う。
周りの子達もちらちら見てきて、非常にやりにくい。
「明日返事聞かせてよ」
畑中君はそれだけ言うと、何事もなかったかのように皆の輪に戻る。
畑中君の後ろ姿は由宇みたいにかっこよかった。