恋愛論
「早紀来てたんだ?」
後ろから由宇の声がして、あたしはアルバムを閉じる。
「ベッドに寝るなよ。襲われたいの?」
由宇が悪戯っぽく笑う。
「うん」
あたしが頷くと、由宇は目を丸くする。
「しようよ」
あたしは由宇の腕をひっぱって、近距離で見つめる。
由宇は少し戸惑ってたけど、目を閉じてキスをした。
由宇のキスはとても優しくて、自分の立場を忘れてしまう。
少しの間だけ。
少しでいいから、由宇の特別になりたかった。
ゆっくりあたしの髪を撫でながら、由宇はあたしの上にかぶさる。
目を見つめて、優しくあたしに触れる。
服のなかに手を入れて、胸を揉む。
ゆっくり、円を書くように。
敢えて中心をずらして、焦らすように。
「由宇…」
名前を呼ぶと、微笑んでおでこにキスする。
由宇が愛しくて。
仁美のことなんてどうでもよくなる。
今だけで良いから、あたしだけを見てほしい。