恋愛論
「早紀…はぁっ」
由宇の息も上がってきて。
あたしも意識が薄らいで。
でも由宇があたしの名前を何度も呼ぶのはちゃんと聞いてた。
川崎さんじゃなくて、あたしの名前。
それだけのことで幸せで。
つい涙が一粒流れる。
由宇が優しく舌でそれを拭い、あたし達は同時に達した。
「由宇」
しっかりと、由宇の名前を呼ぶ。
由宇は優しい目で、あたしを見る。
そんな目で見られると、決心が鈍るから。
あたしは服を整えながらいった。
「これで終わりにしよ?」
「何を?」
解ってるくせに。
「途中で投げ出すなんてひどいと思うけど…」
由宇は意味が解らないって顔をする。
「由宇にはきっと素敵な人がすぐに見つかるから。新しい彼女にあとは頼んでね」