恋愛論



由宇の家に着くと、由宇はあたしに紅茶を出した。


前にあたしが買ってきた紅茶。


一口飲むと、いい香りがして。


気分が落ち着く。


「早紀」


やっと由宇が口を開く。


表情は硬いままだけど。


「今から俺が考えてたこと全部話すから。全部聞いてほしい」


あたしはゆっくり頷いて、由宇の目を見た。


由宇もあたしの目を見たあと、窓の外を見ながら言った。


「川崎のことが好きだったよ、ずっと。早紀と別れてから最近まで」


わかってるよ。


由宇がどれだけ川崎さんのことを好きだったか。


「川崎に彼氏ができて、しかもそれは俺の親友で。大学も違って。正直本当に辛かった」


由宇の目線の先にはあの写真があった。











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