恋愛論
由宇はしばらくあたしの背中をさすってくれた。
「早紀」
由宇に呼ばれて顔を上げると、由宇が言う。
「早紀が幻滅してないっていうなら、続きを言うよ」
あたしは頷く。
「本当はここからが言いたかったんだ」
あたしが首を傾げると、由宇が笑う。
さっきまでと違う、由宇のいつもの笑顔。
「早紀に終わりにしようって言われた日、気付いた」
由宇があたしの髪を優しく撫でる。
「早紀が好きだって」
目を丸くして由宇を見ると、耳が赤い。
由宇の言ってることが本当だってあたしに教えてくれる。
「早紀に救われたよ、いっぱい。いつのまにか川崎なんてどうでもよくなって。早紀だけが気になってた」
あたしはまた涙を流す。
さっきとは違う、喜びの涙。