恋愛論



顔を上げるとそこには由宇。


「どしたの?気分悪ぃの?」


隣で仁美が頷くと、由宇はあたしの体を持ち上げた。


「電車乗れそう?」


あたしが首を振ると、由宇は少し考えてから言った。


「俺ん家がすぐそこにあるんだけど…」


「え?」


思いも依らぬ一言に目が点になる。


「だってここにいるわけにはいかねぇだろ?」


そうだけど…。


黙るあたしを見て、了承したと思った由宇は仁美に言った。


「塩屋さんも帰っていいよ?俺が責任持って面倒みるし」


「でも……」


仁美が戸惑ったように言う。


「大丈夫。もちろん何もしないからさ」










< 9 / 56 >

この作品をシェア

pagetop