恋愛論
顔を上げるとそこには由宇。
「どしたの?気分悪ぃの?」
隣で仁美が頷くと、由宇はあたしの体を持ち上げた。
「電車乗れそう?」
あたしが首を振ると、由宇は少し考えてから言った。
「俺ん家がすぐそこにあるんだけど…」
「え?」
思いも依らぬ一言に目が点になる。
「だってここにいるわけにはいかねぇだろ?」
そうだけど…。
黙るあたしを見て、了承したと思った由宇は仁美に言った。
「塩屋さんも帰っていいよ?俺が責任持って面倒みるし」
「でも……」
仁美が戸惑ったように言う。
「大丈夫。もちろん何もしないからさ」