sweet memory ~奏大side~
エントランスに行くと、時間はちょっと早いとはいえ、お昼時ということもあり、社員が多くいた。
そんな中、会社の副社長である奏大がエントランスにいることはとても目立つ。
朝は気づかれなかった奏大の右手薬指の指輪に、気付いた者がいたようで、いつも以上に騒がしくなっていた。
「副社長の右手薬指に指輪が…」
「う、嘘…」
「えっ、まさか相手がいるってこと!?」
「でも、今までそんな素振りはなかったわよね?」
「ショック…」
「副社長のこと狙ってたのに!」
「あんたなんか副社長は覚えてないわよ」
「いいじゃない、夢見るくらい」
「相手の人ってどんな人なのかしら?」
「副社長のお相手だもの。きっと、美女でスタイルの良いモデルさんみたいな人じゃない?」
あちらこちらで、ヒソヒソと話をしている社員。
それは女性社員だけではなく、男性社員もヒソヒソと話をしていた。