sweet memory ~奏大side~
そんな噂話に敏感に反応したのは、淳平だった。
まさかそんな噂話が出回っているだなんて、初めは信じられなかった。
幸いにも、まだ奏大の耳にはこの噂は届いていなかった。
このことを奏大に報告すべきか、淳平は悩んだが、今幸せそうにしている2人を間近で見ている淳平としては、伝えたくなかった。
真実は当人同士と、身近な人間が知っていれば良いことだと判断をし、そのまま何も伝えなかった。
もしこの時、淳平が何か行動を起こしていれば、何か変わったのであろうか。
奏大の運命の歯車が狂い始めたことに、誰も気づけなかった。