sweet memory ~奏大side~
「…何、これ…」
「……」
奏大は創の問いに、何も答えなかった。
創は苦笑いしながら、もう一度携帯の画面を見た。
そこには見たことのある、ベッドの上で幸せそうに眠る花菜の姿が写し出されていた。
これは奏大の部屋で間違いないだろう。
創は携帯を持ったまま、奏大の方を見た。
「お前…これは一体…」
「花菜と再会した日に撮った」
「………」
「前にも言ったが、俺は花菜が側にいるだけでいいんだ」
「奏大…」
「もう二度と、離さない」
そう言う奏大の表情は苦痛な物で、きっと昔のことを思い出していたのだろう。
奏大は創から携帯を取り返すと、「お疲れ」と言い、副社長室を出て行った。