sweet memory ~奏大side~
その頃、奏大は会議に追われていた。
なかなか進まない会議に不機嫌なオーラを出しつつ、ようやく話が纏まりつつあった。
次回は試作品を持ってきて会議を行うことになり、今日はお開きとなった。
奏大は荷物を纏め、脱いでいたジャケットを手に持ち立ち上がると、またしても野上麻衣が近づいてきた。
かと思えば、奏大に近づく直前でヒールが絨毯に引っかかって躓いてしまい、そのまま前にいた奏大に向かって倒れてきたのだった。
咄嗟のことで、奏大はどうすることも出来ず、そのまま野上麻衣が奏大の胸に倒れてきた。
「奏大くん、ごめんなさい」
「……」
「大丈夫だった?」
「あぁ」
そう言うと、奏大は野上麻衣のことを引き離した。
そして、そのまま何も言わず会議室から出て行った。