sweet memory ~奏大side~
帝王ホテルに着くと、正面玄関で奏大のことを降ろし、創は地下の駐車場へと車を止めにいった。
すると、奏大はいきなり後ろから誰かに抱きつかれた。
振り返ると、それは野上麻衣だった。
「何をする。離れろ」
「もう!奏大くんったら冷たいのね」
「お前とはそういう関係ではない」
「そんなのわからないじゃない?」
「いや、俺はアイツ以外は受け付けない」
そう言うと、奏大は野上麻衣を引き離し、ホテルの中に入っていった。
野上麻衣も悔しそうな表情をしながら、奏大の後を追った。
まさか、この光景を花菜が車の中から見ていたとは、なんと残酷な運命なのだろう。
そのことに、車の運転をしていた淳平すら、気付いていなかった。