sweet memory ~奏大side~
「電話がかかってきたから持ってきたんだけど…切れちゃったみたいね」
「……」
「あら、そんな怖い顔をしなくたって、良いじゃない?」
「…ここで何をしていた」
「奏大くんと話がしたかったのよ」
「話?」
奏大は野上麻衣の言葉に、眉間に皺を寄せていた。
「奏大くんに一度は断られてしまったけど、私との婚約を考えてほしいのよ」
「!」
「昔、奏大くんには好きな人がいるからって言われて一度は諦めた恋だったけど、やっぱり諦めきれないの」
「悪いが……」
奏大が野上麻衣に何か言おうとしたその時、副社長室のドアが勢い良く開き、誰かが慌ててプライベートルームに乗り込んできた。