sweet memory ~奏大side~
「花菜、俺はこれからアメリカに行くんだ」
「アメリカ?それって遠いの?」
「…あぁ」
「すぐ帰ってくる?」
「…いや、2年は帰ってこれない」
「会えないの?」
「あぁ…でも…」
「嫌だ。花菜も一緒に行く!」
「花菜、我が儘言うな。奏大も困ってるだろう?」
「っ…創くんも、りっくんも淳くんも知ってたの?」
「ごめん、花菜ちん…」
「花菜……」
あの時、本当は花菜と離れたくはなかった。
けれど、16歳の餓鬼がどうにか出来る問題ではなく、どうすることも出来なくて、あの決断に至るんだが、まさかこの後、あんなことになろうとは想像していなかったんだ。
刻一刻と迫る時間と花菜の説得に、俺は焦っていたんだ。
今ならわかることも、あの時の俺には気付くことが出来なかった。
花菜は小さな体であんなに頑張って自分の思いを伝えていたのに、それを察してやれなかったんだ。