sweet memory ~奏大side~
「あかねはどうするんだ?」
「律もいるって言うし、創くんも残るんでしょ?なら、私もいるわ」
「そうか…」
「花菜~、私達待ってるからいってらっしゃい」
「うん。いってきます」
そう言うと、今度こそ花菜は淳平の父親と一緒に病室を出ていった。
「奏大、良かったな。花菜ちんの記憶が戻ったなんて、まだ信じられねーよ」
「俺だって信じられない。だが、この一週間眠りについていたのは、花菜が記憶を取り戻すために必要な時間だったんだよ」
「……どういうことだ?」
「花菜が言うには、昔の記憶を取り戻すために、夢を見ていたらしいんだ」
「夢?」
「あぁ。花菜の心の奥底に閉じ込められていた記憶を夢で見ていたらしい」
「そっか…。花菜ちん、時折涙を流していたんだけど、夢で昔の記憶を辿っていたからなんだな」
「…あぁ」
「でも、本当によく思い出してくれたよな」
「あぁ」
それから花菜が戻ってくるまでの間、話をして待っていた。