sweet memory ~奏大side~
それから、パーティーについての話は一段落したようで、奏大は花菜の手を取り、立ち上がった。
「…奏くん?」
「あら、もう帰るの?ゆっくりしていけばいいのに」
「いや…これから雨宮の家に顔を出すことになってるから…」
「あら、そうなの。じゃぁ、待たせちゃいけないわね」
「奏大…花菜さんを連れてまた遊びに来ると良い」
「あぁ…」
「お邪魔しました。また遊びに来ます」
「えぇ、待ってるわ」
そう言うと、奏大は花菜の手を引き、西條家を後にした。
「そんなに慌てなくても…。もうちょっとゆっくりしていても良かったんじゃない?」
「…いや。あれ以上いると穂波が帰ってくる。そうなると、なかなか帰れなくなるだろう?」
「あっ…そっか。今日は終業式だから、そろそろ帰ってくる時間だね」
「あまり遅くなっても、待っている雨宮のご両親に悪いからな」
「色々気遣ってくれてありがとう」
「あぁ…」
奏大は照れを隠すかのように、横を向いてしまった。