sweet memory ~奏大side~
どのくらいの時間がたったのだろうか。
時間にしたら5分もかからなかったのだろうが、沈黙が長いように感じ始めた頃、奏大が花菜と向き合い、話し始めた。
「……本来なら、入籍したんだから指輪を贈るんだろうけど、6月に式を挙げる時に指輪を渡すとなると指輪だけでも3つになっちゃうだろう?だから…」
「私、この指輪だけでも十分だよ?そんなに何個もあってももったいない!」
「お前ならそういうと思って……」
「…何?これ…」
奏大は、花菜に小さな正方形の形をした箱を差し出した。
中身が検討もつかず、花菜は首を傾げていた。
「開けてみろ」
「うん…」
奏大に促されるまま、花菜は箱を開けた。