笑顔を忘れた天使【完】

「綺麗…」

そっと、彼の頬に触れる
少し驚き彼は目を大きく開けた

そんな彼はなんだか子供のようで可愛いかった

あぁ
頭が重い…

「おいっ!」

気を失うその瞬間
彼の声が聞こえた






誰かの心臓の音がする

ふわふわと揺れる

少し甘い匂いがする

なんだか懐かしい感覚...


「おっ!起きたか!もうすぐ保健室だから」
そう言って笑った彼の頬にはエクボができた

なんて可愛らしく笑うのだろう

私は…


「もう大丈夫です。自分で歩きます。」

「でも…」

「大丈夫ですから」

少し強く言うと彼はゆっくり降ろしてくれた

「いたっ」

「大丈夫じゃねぇじゃん」

「ギャッ」

軽々と抱き上げられてしまった

あれ?

これってお姫様抱っこ!?

あ!!さっきも!?

「やめて下さい。重いでしょう。」

「重くねぇよ。てか軽すぎ。ちゃんと食ってんの?」
なっ!!
「あなたに関係ない」
「ふーん。それじゃあ」

突然目の前が暗くなったと思ったら
唇にふわりとした感触がした

今なにしたこの人

キッキス!?

「いやぁ〜」

叫びに近い声が左右から一斉に聞こえる

「どういう事なの〜洸〜!!」

洸?

そういえばここは学校だった
この人、生徒だよね?

「何すんのよ」

「えっ?キスだよ?知ってるでしょ?」

ふざけてる

ふざけてるわこの人
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