蝶
建造物の間の、奥まった細い路地
そこに人のようなものが
まるで棄てられたかのように座り込んでいるのがわかる
いつもなら素通りしただけだったろうけど
コツコツとヒールを鳴らしながら近づきに行ったのは
今となっては必然のように思える
薄暗い空のもとでもわかる、質感のよさそうな短い金髪
小柄そうだが、身なりからしてたぶん男だろう
うつむいていてよく見えないけれど
それでも綺麗な鼻筋のラインから、
整った顔立ちであることがうかがえる
この人の目を開けたところを見てみたい…
最初はそんな好奇心だった