タクシーを拾い、なんとか男をのせる

意識のはっきりしていない男を連れることが珍しいのか、目を合わせないようにしていても運転手がこちらを窺ってるのがわかる

私だって初めてよ、男を自分から家に連れて帰るなんて


精算をすませ、運転手の手を借り、部屋まで男を運ぶ
ベッドに寝かせたあと、急にタクシーの匂いが鼻について、シャワールームへ直行する

男を警戒していないわけじゃない
だけど、無防備な寝顔を見ていると、警戒するのも馬鹿馬鹿しくなってしまった

鏡に映る私は、曇っていてもわかるほど楽しそうだった



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