蝶
「おかえりい蝶子さん」
仕事が終わり、家に帰るとぴょんと飛びはねるかのようにケイが駆け寄る
「今日はいたのね」
「そんな冷たいこと言わんでよ」
後は一緒に食べよう思って待ってたんやんか、とすり寄るしぐさを見せる
…おそらくここ2.3日で誰かからもらったお金をすべて使い切ってしまったのだろう
しかし、それでも自分で夕食をつくる気はないらしい
だから私が帰って来るのを待っていたのだろう
「…オムライスでいい?」
パッと顔が輝いた
「ありがとう蝶子さん!」
…ああ、この顔
この顔見たさに何人もの人が人生を狂わせたのだろう、と少しゾッとした