レンタル彼氏【完全版】
……


酔えない。
頭はめっきり冴えている。


泉は。


俺がニューヨークにいても会いにくるって言った。

会えない、じゃなく、会わないと言ったのに、会えると言い切った。


…………


俺はまたグラスに注いで、それを飲み干した。
瞬く間にワインが一本空になった。


それでも、頭は冴えていた。
眠れそうにない。


帰って、睡眠薬飲んだ方がよさそうだな…。



俺はそう、思うと投げた携帯と蓋、電池パックをそのままポケットに入れた。



電源なんかつけたくなかった。

携帯。
携帯変えよう。



明日、携帯変えよう。
よし、決めた。


明日の予定を決めた俺は、静まりかえったこの部屋を後にした。


会計を済まそうとしたら、既に済んでいた。
……りさだな。


金なら、あるんだけどな。
まあ、今手持ちはあまりないけど…。
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