レンタル彼氏【完全版】
伊織をどうにか忘れようと、何度もアドレスを消そうと試みてみた。

だけど、ダメだった。



出来なかった。



伊織の、切なく笑う顔が頭から離れてくれなくて。
と、同時に最後、私を嫌悪感丸出しの顔で見たことも思い出して。


毎日。
毎日。


四六時中、伊織だけを考えていた。


その事に気付いた時、やっと私は伊織を好きでいようときめたんだ。


諦めるよりも、好きでいることの方がきっと遥かに幸せだ。


忘れるなんて、最初から出来るわけなかったのに。
なのに、無理に忘れようとしたから苦しかったんだ。



片思いだとわかってるのに。

どうして、こんなにも清々しいんだろう。



これが、本当に好きだってことなのかな。

まあ、私の乏しい恋愛経験じゃ到底計れるものでもないけど。
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