レンタル彼氏【完全版】
伊織は唸りながら、よしっと言ってから部屋を決めてエレベーターに乗り込んだ。


私の手もしっかり握って。
部屋に入って、鍵を閉めてからも伊織はご機嫌だった。


「伊織、嬉しい?」


「うんっ」


「……伊織、私のこと好きなの?」


その言葉に伊織の動きが止まる。
え、何かまずった?


「………好き、なのかな」


これは、聞いてるのかな?
まるで自分に問いかけているような。


「…泉、隣座って?」


「え?あ、はい」


思わず敬語になりながら、私はベッドに腰掛けた伊織の隣に座る。


「俺さ、泉のことめんどくせーしか思ってなかった」


「う、うん」


そ、そうだったの?
少しショックを受ける私に気付かずに伊織は続けた。
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