レンタル彼氏【完全版】
「その後、今の社長に拾われてずっとレンタル彼氏してる。
でも、俺はずっと空っぽのまんま」


……伊織。


「泉はさ。
何も知らなくって。
何も汚れてなくって。
最初、疎ましかったのは羨ましかったのかもしれない」


その言葉に目が点になった。

羨ましい?
私が?


「ほら、あるじゃん。
孤独な俺は、温かな場所で育った子に惹かれるって」


伊織は優しく私の頭を撫でて。


「俺もそうなんだって気付いたんだ。
泉のその明るさが怖かった。
俺が俺でなくなっちまいそうで」



強く私の髪を握りしめて、そのまま押し倒した。
< 156 / 813 >

この作品をシェア

pagetop