レンタル彼氏【完全版】
「行ってくる…」


「うん」


笑顔を見せる泉だけど、絶対無理してる。


「………泉」


「なあに?」


俺は泉の肩に顎をちょこんと乗せる。
泉はびっくりしながら、明らかに動揺してる。

何回体を重ねても、こうゆうウブなとこ可愛いと思う。


「行きたくないっ」


「……伊織…」


顔が見えないから、今どんな顔してるのかわからない。
だけど泉のことだから、きっと複雑な顔してるに決まってる。


泉。
泉。
泉。



「………困らせてごめん。
行ってきまあす。
いい子にしてるんだよ?」


「子供じゃないんだからっ」


頭をなでなですると、泉は少し赤い顔で怒ってみせる。
それが全然怖くなくて、俺はクスクスと笑う。
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