レンタル彼氏【完全版】
待ち合わせ場所は駅前だった。
そこに到着したのはスモーク張りの漆黒の車。


後部座席の窓が下がり、中に入れと促される。
素直に乗ると、俺の膝にその女の手が乗った。


「伊織、今日はどうしようか?」


「……好きなようにどうぞ、万里さん」


「ふふ、もう少し反抗してくれないとこっちも楽しくないわ」


「万里さんにいつだって忠実なだけだよ」


「あら?そう?
顔は嬉しそうじゃないけどね。
私の彼氏君」


「………」

思い切り愛想笑いしてやると、万里さんは心底汚いものを見るような瞳で俺を見た。


万里さんも何度も俺を契約してくれている。

世界的に有名なブランドのプロデューサー。
バリバリキャリアウーマン。
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