レンタル彼氏【完全版】
「…あ~あ、信じてない。

伊織?
私は貴方と結婚を本気で考えたのよ?」

途中で顔をふわっと綻ばせて万里さんはそう言う。


「言っておくけど、私はSだけどね、毎日じゃないのよ?」


「…そうなの?」


「ええ、だってセックスって好きな人と好きあってするものでしょう?」


「…………」


「私は伊織を好きだったから。
まあ、今は伊織にそういう気持ちはないわね。
伊織、完璧に私に従順になったから」


「…え?」


次々と万里さんの口から出る言葉が、俺には衝撃的すぎて少しついていけない。


「…伊織~」

タバコに火を点けて、机に寄り掛かる。





「私、来週からパリに住むわ」
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