レンタル彼氏【完全版】
“捨てられた”
その事実は、過去は何をしても曲げられない。
それがトラウマになってるからか、俺はこの優しい二人に甘えられなかった。
表面上では、ニコニコして取り繕っていたが、日が経つごとに俺の中での闇は広がっていた。
そんな俺がキャバクラのボーイをやることになったのは、ある日のことがきっかけ。
学校帰り。
いつも通り、当たり障りない会話をしながらクラスメイトと別れて帰宅していた。
俺はなんとなく家に帰りたくなくて、ゲーセンで時間を潰していた。
雲一つない空を見上げた俺は、無性に孤独を感じていた。
こんな空、飛んでみてぇー。
鳥になりてぇー。
そう、思いながらゲーセンまで歩くと前から歩く人と肩がぶつかった。
「あっ、すみません」
空から視線を前に戻して謝ると、目の前にいた人は綺麗に笑った。