レンタル彼氏【完全版】
「ふふ、いいわよ。
何か空にあったの?」


髪がふわふわさらさらしてて。
耳に光るキラキラ光るクリスタルのピアスが眩しい。

透き通るような白い肌をした彼女は俺に優しく問い掛けた。

そう。この彼女こそが、俺を堕落させた張本人、美咲さんだ。


「いや、えっと…」


俺が口籠もると、また彼女はふふっと笑った。
しとやかな花みたいに笑う彼女に、俺は胸が高鳴った。


同級生に、こんな雰囲気を持ち合わせた人はいなかったから。


「今、一人?」


「え?あ、はい」


「時間ある?」


「え?」


「ついてきて」


俺が答えもしないのに、彼女は俺の腕を引いて歩きだした。


「あ、あの、どこ行くんですか?」


スタスタと歩く彼女に俺が尋ねた。
彼女は顔だけ振り返ると、口角を上げて微笑むだけで何も答えなかった。


きっと、聞いてもはぐらかされるんだろう。
女の人だし、ヤバイことはないだろう。


心の中で答えを勝手に出して、俺は大人しくついて行った。

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