レンタル彼氏【完全版】
ここ、数日。
俺は母親と会話をしていなかった。

母親は何かしら俺に話しかけてくるが、俺はああ、とか、そう、とか適当に返事をしすぐに会話を断ち切っていた。

それに母親を直視することも減っていた。

営業中は何も考えないように仕事に集中した。


店内の、すぐ横にある小さな部屋。
飲み屋を居ぬきして作られたからか、小さな更衣室みたいな部屋がある。


多分。
そこで母親とあいつは夜な夜なあの行為をしている。


そう思うだけで、その部屋がとてつもなく汚く感じて足を踏み入れることをしなくなった。


そこでする勉強が。
本当に楽しかったのに。




全部。


あいつに奪われたのかと思うと、あいつへの嫌悪感は日に日に増してゆく。


あいつが来なければ。

今も母親と笑顔で会話して。


大好きな玉子サンドを食べてるんだろう。
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