レンタル彼氏【完全版】
俺は体を売った、その罪悪感からか母親と笑顔で会話出来るようになっていた。

その後ろめたさが、俺を笑顔にする。



バレたくない。
俺の汚い過去なんて。


バレたらきっと、捨てられる。
そんなの、イヤダ。

無理矢理でも笑顔を作る俺。


また、舞い戻ったかに思えた俺の平凡な生活。




それを潰すのは、いつだってあいつだ。

俺の闇を最大限まで引き出すあいつは、天才だとまで思った。



大音量で聞いた音楽の区切りの静寂に聞こえる、その音。
心の奥底から、黒い霧が吹き出して俺を包み込んでしまいそうな気がした。



それに耐えきれなくて、俺はまた美佳のところへ向かう。
美佳と、楽しく過ごす時間がまた俺に罪悪感を思い出させる。



それの繰り返し。



でも。


限界だった。


もう、きっと限界だった。


その日もあの男が来ていた。
あいつはまた金を母親にせびっている。


母親に強く言われてからは、あいつと会わないようにしていたけど、積もりに積もった怒りがついに限界まで到達した。

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