レンタル彼氏【完全版】
バッチリ伊織と目が合う。

突然絡んだ視線に、臆づきながら私は軽く頭を下げる。
苦笑いを浮かべながら、罰が悪くなった私は席を立って慌てて場内から出た。



「先輩!!!!」



長いコールの後、第一声がこれ。
先輩も少しビックリしてるのがわかる。


「お、おお、浜田!って、浜田今日どうしたらいいの!」

「もう、いいですよ!先輩!バレました!」

「は?バレたって、メイとかに?」

「え?」

「えって、それを調べてたんじゃないの?」

「あ…」


すっかり忘れてた。
先輩に言われて気がついた。



そうだ、私その調査に来てたわけで。
でも。
それどころじゃない!



「先輩、それは大丈夫です!だから、任せてください!彼氏と仲良くしてくださいね!」


反論されないように一気にまくしたてて、私は一方的に電話を切った。


切る間際、ちょっととか聞こえてたような気がする。



………



後程、先輩説明します。
今はすみません。




携帯に向かって小さく合掌すると、電源を切った。
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