レンタル彼氏【完全版】
このまま、ここにいることも出来ないから私は代金を支払ってホテルを後にした。


一人しかいない私を、おばちゃんは訝しげな顔で見ていたけど。


そんなこと、私にはもうどうだっていい。
考えたら負け。



また、闇に落ちて、飲み込まれて、伊織を思って泣くだけだから。




実際。
これからどうしよう。


普通に学校行って。
普通に友達と遊んで。
普通に就職して。


普通に、普通の人と結婚する。



それが幸せなのかも。


ぼんやり、歩きながらそんなことを考えてみる。


だけど、それが“幸せ”だと思うのは伊織に会う前の話。
伊織に会わなければ、順二と付き合ってたのかもしれない。




でも、私は伊織に出会ってしまった。

かけがえのない彼に。



最初はこんなことになるだなんて、思ってなかったのにな。


伊織に、会いたいな。
伊織、泣いてないよね。



早く、抱きしめてあげたいよ。
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